日記と小物語
不可能
スペースデブリ
「あなたは、なぜ宇宙飛行士になりたいのですか?」
面接官が私に尋ねた。
「泳ぐより歩きたかったアリエルがいました。
歩くより走りたかった人がいました。
走るより飛びたかった人がいました。
私は、飛ぶより地球から逃げたかったのです。」
「あなたの内なる負の感情は、更なる負を生み出し続け、負の感情で覆われてしまうでしょう。覆いを取り去りなさい。」
面接官は私を諭した。
「覆いを少しずつ取り除いてくれる人が現れました。大丈夫です。その時には、遥か彼方にある宇宙へ飛び出し、空を越え海へと舞戻って来ます。」
# ケスラーシンドローム
タイガーマスクを被ったエリマキトカゲ
我輩はエリマキトカゲである。
猫だと思っていたら、大間違いだった。
犬だと思っていた時もあった。
更には、鳥になったと勘違いしていた時もあった。
恐れを感じたなら、襟をいっぱいに広げて後ずさりをしながら立ち去るであろう。
泣きたい私は最強に可愛いい猫など被らない。
アロマ空間デザイナー kayo
北極の氷のベッド
暖かい世界の冷たい氷のベッドはボクだけの居場所。
誰も近寄らないで。
今は泳ぐ事に疲れているだけなんだ。
氷が平らになったら、ゆっくりしっかり歩くよ。
#CNN 野生生物写真 氷山の上のホッキョクグマ
ハロクライン
「いっかいゆっくりと下に潜ってごらん。」
「イヤだよ。ボクはココから跳び出したいんだ。誰よりも早く一番に。」
「じゃあ、周りを見てごらん。この狭い枠の中に君と同じような子達はどれだけいると思う?」
「息が出来ないくらい、苦しいくらいいる。」
「君は上しか見ていないんだよ。」
「だって、下に潜ると薄っぺらいやつらと辛辣なクドい奴の間に挟まれてモヤモヤするんだ。」
「そのモヤモヤを、君は、なぜ、楽しまないんだ。」
「楽しめる君は不思議過ぎるよ。」
「不思議な世界は、とても幻想的だよ。」
少しだけ潜って泳ぐと氷がない世界に辿り着いた。
その時に、ボクは氷の下の美しい色に気付いた。
# 流氷に閉じ込められたシャチ

