日記と小物語
2024-03-15 21:48:00
サルの惑星
「君は何も見てはいけない。何も聞いてはいけない。何も話してはいけない。」
サルの惑星の感覚器官が言った。
見ざる聞かざる言わざるサルは、ある日、視覚と聴覚と言語力を奪われた。
「なぜ、私から全てを奪うのですか?私は、始めから何も持っておりません。取るに足りないただの一匹のサルです。」
「君は、私の大事な腰掛けを隠したからだ。」
「腰掛けは、始めから、私がいつも座る場所に置いてありました。なぜここに置かれているのだろう?と疑問に思っておりました。」
小さなサルは切々と伝えた。
しかし、サルの感覚器官長は言った。
「それは、分かっている。しかし、君は腰掛けを見つけるその前に、目を両手で塞ぎながら、「私は目が見えません。探せません。」と叫んだら良かったのだ。」
小さなサルは、泣きたかったが、泣く声が出なかった。
小さなサルは、何も見えなくなったが、見えるかのように振る舞った。
小さなサルは、何も聞こえなかったが、音楽だけは聴く事が出来た。
No music, No life サル
アロマ空間デザイナー kayo