日記と小物語

2024-02-07 19:41:00

ハロクライン

「いっかいゆっくりと下に潜ってごらん。」

 

「イヤだよ。ボクはココから跳び出したいんだ。誰よりも早く一番に。」

 

「じゃあ、周りを見てごらん。この狭い枠の中に君と同じような子達はどれだけいると思う?」

 

「息が出来ないくらい、苦しいくらいいる。」

 

「君は上しか見ていないんだよ。」

 

「だって、下に潜ると薄っぺらいやつらと辛辣なクドい奴の間に挟まれてモヤモヤするんだ。」

「そのモヤモヤを、君は、なぜ、楽しまないんだ。」

 

「楽しめる君は不思議過ぎるよ。」

 

「不思議な世界は、とても幻想的だよ。」

 

少しだけ潜って泳ぐと氷がない世界に辿り着いた。

その時に、ボクは氷の下の美しい色に気付いた。

 

  # 流氷に閉じ込められたシャチ