日記と小物語

2025-03-07 20:49:00

冷え症の女

「あなたはなぜ、諦めているのですか?」

 

私は諦めているのだろうか?

 

「私は誰に対しても、全てを期待しません。期待は驕りだからです。老若男女問わず、誰に対しても、こうなって欲しい、こうであって欲しいとは思いません。現実を受け止め受け入れているだけです。」

すると、その人は言った。

「あなたは、なんて冷めた人だ!人を信頼し、ある程度の期待をしなければ相手は応えてくれないですよ。」

 

「相手は私の期待に答えるためのその場限りの表面的な行動や言葉を投げかける事しかしなくなるのが嫌だからです。」

 

「それは、あなたが相手の心を開くような会話をしていないからです。もっと、相手の心に耳を傾けなさい。本心を観察しなさい。」

 

「あなたの考えは正しいのでしょう。しかし、人の心の内は誰にも分かりません。例え、本心を話してくれたとしても、次の日には変わる事も、また忘れる事もあるからです。次の日の心も次の瞬間の心も本心だからです。誰も人が人の心を導く事は出来ません。」

 

「すると、これから先、あなたの諦めている心も諦めないように導かれる事はないのですか?あなたの冷めた心を見るとがっかりしますし、イラつきます。」

 

「誰も私に期待しないで下さい。

私は諦めではなく、人にも自分にも現実をただ受け入れ受け止めているだけです。

私は自分の考えは常に間違っているかもしれないという感覚がある事を信じています。」